市長に要請書を提出

5月30日、入間小のケヤキを未来につなぐ会は、小谷野剛 狭山市長に宛てて「入間小学校跡地のケヤキ伐根中止を求める要請」を提出しました。要請書の内容は下記の通りです。


2022年5月30日

狭山市長 小谷野剛様

入間小のケヤキを未来につなぐ会
代表 福住勇矢

入間小学校跡地のケヤキ伐根中止を求める要請

今年も入間小学校のケヤキが碧々と生い茂る季節となりました。狭山市長におかれましては、市民に寄り添い共に乗り越えていく市政運営に日々ご尽力いただき、ありがとうございます。

さて、入間小学校跡地利活用事業の計画に沿って、事業用地のイオンリテール株式会社(以下、イオンと称する)への引き渡しが迫っていることと認識しています。同事業では、入間小学校のケヤキの立ち木(以下、ケヤキと称する)が事業者の責任において伐根処分されることになっています。しかし、すでにご承知の通り、ケヤキの伐根については同校卒業生や市民から反対の意見が出されていました。私たちも一市民として意見を発信し、これまで事業関係者の動きを注視して参りました。しかしながら、事業者への用地引き渡しが近づく今でも依然として多くの市民がケヤキの保存や現状での活用を要望しており、さらには伐根に対する疑問の声が増していることに気づかされました。それどころか、ケヤキの処遇を知らない市民や残されると誤解している市民が一定数いることもわかってきました。これらの民意を狭山市が正確に把握できているのか、私たちは疑問に感じています。民意を捉え切れていない事業推進が住民感情を損ね、伸びしろのある入曽のまちづくりを取り返しのつかない結末に導くのではないかと、強く懸念しています。

このような問題意識の下、私たち市民の有志が集まって「入間小のケヤキを未来につなぐ会」を立ち上げました。伐根まで時間が限られる中ではありますが、無視できない市民の想いの数々を私たちが受け止め、確実に事業に反映されるようこの問題に取り組んで参ります。私たちは市民の代弁者であり信頼される行動者でありたいと、固く決意しました。何より私たちも、ケヤキが今のまま残ることを切に願っています。

私たちは狭山市に対して下記の内容を強く要請します。よろしくご配慮賜りますよう、お願いいたします。

【要請の内容】

  1. イオンに対して、ケヤキの伐根処分の手続き中断を今すぐに申し入れること。
  2. ケヤキの伐根中止と現位置での保存・活用を前提に、複合商業施設の設計変更やケヤキの管理方法等についてイオンとの協議を開始すること。

【要請の理由】

  1. (市民の意見と計画の周知不足)ケヤキを残してほしいとの意見が「入曽駅周辺整備事業基本計画(案)に関するパブリックコメント」でも複数件寄せられています。私たちが街頭や戸別訪問で実施した市民への聴き取りでも現位置での保存や活用を希望する意見が大勢を占めています。一方で、広報などケヤキの伐根を伝える市の周知は不十分です。伐根の計画を知らない人が非常に多く(同 聴き取りに基づく)、この計画に反対の意見を表明する機会が失われており公正さを欠いています。このように、民意を正しく反映していない事業の推進は、正当性に疑問符が付きます。
  2. (歴史の象徴)ケヤキは当地への植樹から100年以上が経っています。入間尋常小学校(入間小学校の前身)の記念樹として当時の校長が着想し、4人の児童が一所懸命に近くの山から担いできた逸話は、大正9年(1920年)当時の入曽の風景や住民の人柄を物語っています。その後、太平洋戦争・高度経済成長・少子化の時代を経て大木に育ったケヤキは、入間小学校の敷地内に留まらず入曽の町の歴史と人々の記憶に深く刻まれています。このように、ケヤキは入曽100余年の証となる名木です。狭山市緑の基本計画によれば、古くから町の象徴として親しまれている名木は保全される十分な理由があります。
  3. (豊かな市民生活と魅力ある景観)市街地の緑は豊かな市民生活になくてはならない存在です。緑は人々の心に安らぎや充足感を与え、日々の暮らしを豊かにしてくれます。生活する傍らで緑とふれあい自然の息吹を感じることは、健康で潤いのある生活環境を創造するうえでかけがえのないことです。市街地における緑はまちに潤いを与え、個性的で魅力ある景観を創り出します。大木は都市の美観を維持します。これらは狭山市緑の基本計画にも謳われていることです。今あるケヤキの保存と活用は、市民の心や暮らしを豊かにし入曽の町の景観に魅力を与えるための最良の方法です。
  4. (シビックプライドに基づくまちづくり)入曽の町にある40年来の課題を解決し、未来を見据えて魅力あるまちづくりを推進するためには、行政だけでなく市民の主体的な参加が不可欠です。市民生活に溶け込んだケヤキが歴史を物語り町に潤いや魅力をもたらすことは、市民に入曽の町への愛着や誇りを醸成します。ケヤキが町と市民をつなぐことで町への関心を高め、入曽のまちづくりへの市民参加を促します。このようなシビックプライド(都市に対する市民の誇り)に基づくまちづくりは市民の誇りをさらに高め、まちづくりに好循環を生み出します。行政主導のまちづくりとは異なり、入曽において魅力と活力ある持続可能なまちづくりを実現します。

以上