署名を軽視する答弁等について抗議文を提出

この度公開された狭山市議会令和4年第3回定例会の記録において、「旧入間小のケヤキとイオンとの共存を求める署名」を軽視する不適切な答弁や委員長報告が公式に確認されました。入間小のケヤキを未来につなぐ会は11月28日、この件に関して狭山市長と狭山市議会議長宛ての抗議文を下記の通り提出しました。

今回の市執行部の答弁等は、署名の状況について市側の認識不足を露呈しただけではなく、賛同者の想いを深く傷つけ、議員や出店予定事業者に混乱をもたらすもので、到底看過できるものではありません。私たちは今後も、市の発信内容を厳しく点検して参ります。


2022年11月28日

狭山市長 小谷野剛 様
狭山市議会議長 太田博希 様

入間小のケヤキを未来につなぐ会
代表 福住勇矢

市議会における署名軽視の発言について(抗議文)

この度、先の狭山市議会令和4年第3回定例会の記録が公開されました。記録の中ではこれまでに入間小のケヤキを未来につなぐ会に集まった「旧入間小のケヤキとイオンとの共存を求める署名」を軽視する狭山市執行部の不適切な答弁や市議会建設環境委員会の委員長報告が公式に確認されました。当会はこれらの答弁・報告を行った狭山市と狭山市議会に厳重に抗議するとともに、市執行部には認識を改めてケヤキ保存に向けて計画を再考するよう強く求めます。

発言の概要

定例会の建設環境委員会や一般質問における市執行部の答弁では、特にオンライン署名における狭山市以外の署名の多さを挙げ、賛同者が入曽のまちを理解しているのか疑問が残るとして大半の署名を軽視する発言がありました。また、後継木の育成事業や加工品の提案などを知らないで署名した可能性があるとし、議場の議員や傍聴者に署名が不当であると誤認させかねない不適切な発言がありました。これらの市執行部の答弁は、建設環境委員会の委員長報告としてもまとめられて報告されました。(詳細は別紙に記載)

反論と主張

この署名は市外に転出した入間小学校関係者や元住民も意志表明しやすいようにオンライン署名主体で始めた経緯があり、実際に市外の卒業生や住民から賛同や励ましの声、協力の申し出が当会に多く届いています。また、このケヤキを日常で目にしている人は狭山市民に限らず、隣接する入間市や所沢市からもケヤキを気遣う声が寄せられています。さらに、オンライン署名のシステム上、市内に住民票があっても市外の住所が記録されることが非常に多く確認されています。市内に住んでいても市の情報管理に不安を抱き匿名や住所未記載で賛同するケースも把握しています。これらの賛同者は正しく入曽のまちに理解がある人であり、そのことは所管する市街地整備課との面談(7月20日)でも担当者に伝えています。

さらに、今回のケヤキ伐根問題は狭山市だけの問題ではなく、全国に展開しているイオンリテール株式会社にも係わる大きな問題です。同社は小売大手の中でも地域貢献や環境との調和の分野で先進的な取り組みをしている企業として全国の消費者から認知されており、同社の企業イメージを貶めるような市の杜撰で強引な進め方に全国の顧客から批判が集まることは極めて自然なことです。この問題を市内に限って矮小化して考えているのであれば、出店事業者をも蔑ろにする不誠実な進め方です。

そもそも、この署名の賛同者は「ケヤキの現位置での保存」を強く願っています。私たちは後継木や加工品が代わりになるとは考えていません。あるいは、後世につなぐことが知られていないのではないかと市執行部が指摘するのであれば、それは市の周知不足を認めていることであり、市自らが改善すべき課題です。

このように、市議会で表明された市の認識はケヤキに思いを寄せる賛同者の実態や問題の構図を正確に把握できておらず、このような状況で事業推進や政策判断を行うことは不適当です。何よりも、このような言説が意図的か否かに関わらず市議会など公の場で流布されることは、市議会や関係者を混乱させ、賛同者の気持ちを深く傷つける行為に他なりません。

以上


別紙
令和4年第3回定例会における当該発言・報告

  1. 「1万6,000件ほどの署名をいただいていたというところで、その辺の見解として我々で考えているところがございます。実際にそれはオンライン署名というのが非常に多くて、数で言いますと1万6,082通の全体の署名の内訳で、オンライン署名が1万5,578通あるんですね。それ自体で狭山市の住所記載のあったものが全体の数で考えると0.6%になるというところがございます。オンラインということもございまして、基本的に大半の方が我々の住んでいる入曽のまちを本当にどれだけ理解しているのかなというのがあると思うんですね。我々が今行っている後継木の育成の関係だとか、加工品を作って皆さんにお配りするだとか、そういった後世につなぐような取組を理解して実際に署名されたのか、そこについてはちょっと疑問が残るところかなと考えております。」(入曽周辺整備担当課長、9月9日建設環境委員会での発言)
  2. 「1万6,082件ほどの署名があり、その中でもオンラインの署名が非常に多く、全体の署名の中で1万5,578通あった。その中で狭山市の住所の記載のあったものが全体数の0.6%になる。オンライン署名では、基本的に大半の方が入曽のまちを本当にどれだけ理解しているのか、今後、後継木の育成や、加工品を作って皆さんにお配りする等、後世につなぐ取組を理解して実際に署名をされたのか疑問が残るところである。」(千葉良秋 議員・建設環境委員長、所管事務調査報告で市側の回答として報告)
  3. 「入間小のケヤキを未来につなぐ会から寄せられた1万6,082筆の署名の内訳として、オンラインでの署名が1万5,578筆で、書面によるものが504筆となり、そのうち狭山市の住所の記載のあったものが506筆でありました。総数に対して3.1%が狭山市在住の方で、大半の方が市外の方だと推測しており、市は単に伐採するのではなく、後継木や木の加工品などでケヤキを違った形で構成につなぐということを承知されず、オンラインで証明した方も多かったのではないかと受け止めております。」(原文ママ)(田中徳蔵 都市建設部長、9月20日一般質問で衣川議員への答弁)

抗議文は以下から閲覧、ダウンロード、印刷もできます。